|南アランド65%|NZドル10%|を住信SBI銀行で実際に買ってみた
昨今、やれ分散投資だ新NISAだETF(上場投資信託)だと資産運用ブームなのでしょうか。
マスコミ踊らされるのは嫌なので、あくまでもたまたまタイミングあっただけですが、私も40代後半になり少し貯蓄が増えてきた(まだまだ子供の学費払ってないんで先は見えませんが)ので老後資金確保に向けて、一部の資金を株だけでなく外貨預金にもいれてみました。
FXは若い頃から避けてきましたが、同様に為替差益を利用した資産運用方法の外貨預金について自分なりに勉強/考察した上で、実際に外貨預金商品を買ってみました。
今や大手銀行と見まがう程、市民権を得たように見えつつあるいわゆる大手ネット銀行。
そのネット銀行の広告でGoogleに良く表示される20%や30%等の理解不能の高金利商品について考察/実購入してみたレポートです。
定期預金なのに短期間てどういう事?
しばらく前から以下のような大きな金利の外貨定期預金の広告を良く見かけます。
昨今の新NISAのあおりにより、私も金融系のサイトを見ることも増えたため、Googleで関連広告がでるわでるわのわけですが…
これは何だ?
定期預金なのに1ヵ月って…
楽天銀行にいたっては7日の定期預金???
皆よく聞く有名ネット銀行ばかり。。。しかもSBIも楽天も来年始まる新NISAでお世話になろうと検討している有名どころばかり。
やっぱネット銀行ってなんかまだパチモンな業態なのか??…と私同様に思っている方も多いのではないでしょうか。
●1ヵ月もの:年30%、年65%
●7日もの:年20% 等々
さてちょっとググってみると既に検証された方、検証はしてないけど豊富な知識で評論されてる方、実際にちょっと儲かった方、損した方、推進派、否定派多々見受けられます。
ただ私自身の為替取引、金利計算の基本知識が乏しすぎて何となくは理解できるのですが、中々腑に落ちません。そこで基本的な用語・知識から調べて内容を吟味し、自分でも買ってみました。
短期定期に関する考察
実際に検討して買ってみたのは住信SBI銀行です。
住信SBI銀行を選んだのは元から口座持ってたのと、為替表示が手数料込みで計算しやすいからです。
(計算しやすいだけです、決して手数料が最もお得とかいう話ではありません。)
2023年5月現在展開中の以下のプランで南アランドとNZドルのプランを検討、購入しました。
(実際には4月にまずとにかく買って見て、その後に良く検討しました。)
※以下検討では2023年5月20日時点の住信SBI銀行の以下の為替レートを使用しています。
南アランドの1ヵ月定期の考察
まずは最高値の南アランドについて。
NZドルの1ヵ月定期の考察
つづいてNZドルについても同じ検討をしました。
米ドルの1ヵ月定期の考察
最後は鉄板(のはず)USドルです。
ということで…各国金利プランを円ベースで比較すると
3つの1ヵ月定期プランを比較すると以下の通りである。
(5月21日時点の住信SBI銀行の為替の場合)
この数値は上記説明の通り、買ったその瞬間のスタート時点の値です。
なので、あくまでも全て含み利益、含み損失です。
1か月後に各通貨の為替がどうなっているかが、勿論実際の損益になります。
ということで総括して考えると
●金利の高いプランは購入時点では売買の為替差影響が大きく、結局は利益が少ない。南アランドに至っては必ずマイナス(損失)からスタート。
➡では、ここでいう売買の為替差影響とは何なのか???。
これはいわゆる銀行手数料です。俗にいう、為替差益によるキャピタルゲインではありません。
まあ、最初から為替は手数料こみと書いてあるの当たり前なのですが、改めて計算してみるとこの影響の何と大きいこと。
すなわち上の表を書き換えるとこうですね。
つまり
●金利の高いプランは銀行手数料が大きく、スタート時点では利益が少ない。南アランドに至っては必ずマイナス(損失)からスタート。
ということでした。詳細以下参照。
為替差影響 = 銀行手数料 の確認
まあ当たり前のことですが、改めて計算して確認です。
下の表は住信SBI銀行の、やはり2023年5月21日時点の為替手数料です(22年7月から改正されてないようですね)。これパット見ると何も思うところはなく、大概はふーんこんなもんなんだ。
”銭”って……
大正時代かよ!!どうでもいいわ!!と思わず思ってしまう方が大半かと思います。私も勿論最初はそうでした。しかし、実はこの表が一番重要です。
なんてわかりにくい書き方。もちろんわざとこう書いているはずですが。
例えば米ドルの6銭という手数料。多くの人が気にしないと思います。
だって 6[銭]=0.06[円]、1円玉の6/100。
ところが、この6銭はいつ払うのでしょうか?取引1っ回あたりでしょうか?だとしたら買う時と最後売る時で2回払うから12銭??
いやいやそんな風にはどこにも書いていません。
正解は6[銭/USD]です。
この表上部の ”必ずお読みください:外貨預金のリスク等” の中にかかれています。
【円との取引(1通貨単位)】と。
これは例えば、上で使っている大体 1[USD] = 138[円]とすると
0.06[円/USD] = 0.06[円/138円]
= 0.08[%]
そしてNZドル、南アランドでは
0.24[円/NZD] = 0.24[円/86円]
= 0.56[%]
0.19[円/ZAR] = 0.19[円/7円]
= 5.43[%]
上で計算している売買の為替差影響の数字とほぼ一致しています。
(まあ最初から為替は手数料こみの値ですと書いてますからあたりまえなのですが。)
➡なぜ、銀行がこんなことをするかというのは私はよくわかりません。そもそも定期預金ですので我々客も1ヵ月でどうこうするために預けるわけではないですし。また別記事で書きますが、そもそも本当にこれらの国の金利は事実、これくらいの数値並みに高いので日本の銀行が損をするわけではないはずですし。南アランドや、他にも高金利でよく出てくるトルコリラ等、明らかに政情不安定な国なので現地銀行のデフォルトリスクを最初からとっているみたいなイメージでしょうか???
本当この表の書き方、紛らわしいですね。私はそもそも機械メーカエンジニアなので、自分の開発製品の技術検討資料でこんな書き方したら…ですが。
ただ、勿論私も経営層のへの社内報告資料でわざと単位を書かない、単位を変えることはしょっちゅうあります。よけいな質問をなくすために。
また、機械製品や家電製品でも都合の悪い数字や条件はわかりにくく書く、小さく書くのは常套手段ですよね。うそは書いてないんですって……
(私と同世代の方には”じゃろってなんじゃろ”っていったら共感いただけますでしょうか…)
やっぱり高金利は釣り広告・詐欺なのか?
これはあくまでも私の考え方ですが、決してそんなことはないと思います。
紛らわしい広告であり、釣りの要素が高いことは否定できませんが嘘はどこにも書いてませんし、メリットもあります。次はメリットの方を考察してみます。
そもそも外貨預金って
要するに…FXの一つなのか…?
ここまでの考察で分かったことは
短期高金利の外貨定期預金とは
●その高金利は銀行取引手数料でほぼ相殺される
●結局、為替次第
➡ということで、つまるところ為替次第で金利ほぼ関係なしなのですが、そもそも外貨預金て中長期で為替、即ち円高の時に買って、円安の時に売って利益を得るものなので当たり前。
あれ?でも昨今って割と歴史的な円安だから、そもそも外貨預金ってメリットあまりないのでは??
ということは、見かけの高金利で単に良く理解しない人を誘導する釣り広告じゃないか???に戻ってしまう。
そもそも為替でがんがん儲けるのってFXじゃなかったっけ???、あれ??
FX取引、信用取引、建玉…
FXってなんだっけ?外貨預金とどう違うんだっけ?
●FX = 外国為替証拠金取引
FX = Foreign Exchange
英語だけ見ると、外国為替。
日本語の証拠金はどこにいった?
英語でちゃんと言ったらForeign Exchange Margin Trading とかForex Margin Transactionとかですね。
●FXで言うところの証拠金:
そうそう詳細はFXトレーダー向けのサイトにお任せしますが、要するにこの証拠金というのがあるかないかが、そしてそこに更にレバレッジがかけられるという2点が、FXと外貨預金の最大の違いでした。
この証拠金という発明を使って、
➡実際には外貨持ってないのに持っているような状態にして、為替が上がる時も下がる時もどちらでも利益が出せる。
➡これが建玉(たてだま)でしたよね確か。特に売り建玉がポイントですね。
➡更にその証拠金を元手に利益が出る前提で倍率をかけて、少ない資金でガンと一気に大量の資金があるような状態にして少ない為替差でも大量の利益を稼ぎ出す
➡これが劇薬であるレバレッジですね。
昔、勉強だけしました。実際にやったことはないのであくまでも机上の知識ですが。そして、そのリスクは10倍、20倍のレバレッジをかけて、当たれば一気に稼げますが、外せば資金が一瞬で溶けるハイリスクはリターンの超ギャンブルでした。
尚、円収入/外貨収入両方あると?
蛇足ですが、海外駐在していたことがある方は、海外銀行口座とその時貯めていた現地通貨を海外口座にそのまま持っている方も多いかと思います。
これって要するに、売り建玉と同様の状態ですよね。しかも信用期間無期限。金利の高い国に口座と現地資金がある方は、外貨預金でもFX同様に円高/円安関係なく、為替差益の取得の運用ができますね。羨ましい。
これが本当の分散投資ですよね本来。但し、これは脱税にならないように要注意ですが。
考察まとめ:短期超高金利の外貨定期預金とは
上で南アランドは買った瞬間に、貰えるはずの金利が手数料で相殺されると書きました。色々、考察しましたが結局は為替が上がればいいんです。利益が相殺された以上に1ヵ月で為替があがれば、そして自分が購入した時点の買い為替以上に、売り為替が上がれば、1ヵ月で得た金利分が全て利益になります。
そして、南アランドやトルコリラ等の国は為替の変動率が大きいんです。
下の図は過去約10年間の円ドル相場です。最低で80円、最高で145円。昨年は歴史的にも異常な円安でした。2013年以降、円ドルは100-120円で安定していました。即ちせいぜい20%の範囲内で為替が安定していました。1年レベルで見ると安定していたんです。各1年間で見ると7-8円の差でしょうか。なので1年単位の換金では7-8%の利益が限界。
対して、こちらの図は円・南アランドの同期間の相場です。ドルが安定していた2013年か昨年までで見ると10-6円。変動率で40%位。単年でみても、1.5-2円動いてますので20-30%、1年単位、または2-3ヵ月で換金しても利益の大きいタイミングが存在します。
勿論逆もしかりで、損失の大きい2-3ヵ月も存在します。しかし所詮レバレッジ1倍。FXと比べたら安全で、しかも1か月単位でじっくり(外貨普通預金にしてしまえば1日単位)為替動向を考えながら週末だけちょっと考えてと気楽な資産運用ができます。デイトレなんてやってられないサラリーマンの週末投資に向いている気がします。でも上手くタイミングだけ会えば年間で20-30%の増減が可能。
そして初月である1ヵ月目は現地通貨ベースで5%のボーナス金利。これがこの記事で考察している短期超高金利の外貨定期キャンペーンの意味合いです。
為替変動での年間20-30%の為替差益に加えて、通常の定期金利に加え、5%のボーナス金利。為替が上がっている前提であれば、これはかなり大きなボーナスです。勿論上がっていればですが。
年間30-40%って、FXと比べれば少ないのでしょうが株式と比べてもかなり大きい方と思います。
更に、昨年22年から現在23年5月でいうと、USドルも変動の激しいこと。こちらもで十分利益でそうですね。
結局はやってみないと
まあでもやってみないとわかりません。机上の空論で終わらないように実際に買って見ました。
短期定期の実施検証
南アランド1ヵ月定期を実際に買ってみた
実際に買った南アランドがこれです。
日本円で8万円分購入しました。
この日(2023年4月12日)の買いレート7.45[円/ZAR]で10,738.25[ZAR]。
10万円買ったらわかりやすかったんですがこの時、口座に8万円しかなかったんです。
満期を迎えた、2023年5月12日の次の日5月13日に実際に計算確認してみました。
●金利はちゃんと税引で4.26%でした。年利換算すれば51.79[%]。
購入時の7.45[円/ZAR]換算で3,400円分。なお金利の計算は小数第二位切り捨て。
●日本の税金も勿論計算通りです。うれしい事に、税金も計算は小数第二位で切り捨て。
●そして為替は、残念な結果。勿論、計算は問題ありませんが、しかし為替下がりました。4月末くらいまでは順調に上がっていていたのですが。なんと、最後3日間の5月9,10,11で一気に暴落しました。その推移グラフも貼っときますのでご参考まで。
結果としては7.45[円/ZAR]で買ったものが、満期時点では6.83[円/ZAR]まで落ちたので為替だけで約8[%]、日本円にして約6,900円の損失。金利の3,400円分の利益が全て飛んで、更におつりが…トータルで3,500円、約4.4[%]の損失。残念
●トータル満期評価
税引金利:+3,405[円]
為替差益:-6,941[円]
合計収支:-3,536[円]
損してるのに税金とられるのは相変わらず納得いきませんが。確定申告忘れないようにします。まあまだ利確してないのですが。
➡ということで勿論、満期解約せず1ヵ月定期で元利継続して為替が上がるのを待っています。
尚、南アランドは通常の1ヵ月定期でも年利5.2%なので金利自体はアメリカ並み(金利だけですが)。
ちなみに損益分岐点は売りレートで7.12[円/ZAR]です。
ニュージーランド1ヵ月定期も実際に買ってみた
次はNZドルです。こちらはちゃんと10万円買いました。
南アランドの購入から遅れること3日、住信SBI銀行口座に入金完了。
2023年4月15日に今度はてゃんと10万円分を買いレート83.26[円/NZD]で12,101.05[NZD]購入。
満期を迎えた、2023年5月15日の週末の5月20日に実際に計算確認してみました。
●金利はちゃんと税引で0.66%でした。年利換算すれば7.96[%]。
購入時の83.26[円/NZD]換算で655円分。金利の計算は小数第二位切り捨て。
●日本の税金は勿論計算通り。税金も計算は小数第二位で切り捨て。
●そして為替。南アランドと異なり、こちらは為替上昇。勿論、計算も問題ありません。4月末に急上昇しそこから堅調に上がっていきました。その推移グラフも貼っときますのでご参考まで。
結果としては83.26[円/NZD]で買ったものが、満期時点では86.35[円/NZD]まで上昇、為替だけで約3.7[%]、日本円にして約3,700円の利益。金利の655円分の利益に更に追加。
●トータル満期評価
税引金利:+655[円]
為替差益:+3,736[円]
合計収支:+4,390[円]
利益の大半は予定通り為替差益ですが、金利も655[円]と3桁。もちろん多くはないのですが、3桁の金利ってもこれまで都市銀の口座でも見たことないかも。一応1千万近くは入ってたのですが…まあ普通預金でしたから金利0.001%位ですがですから。
10万円1ヵ月でで600円の金利ってすごいですよね。
ちなみに損益分岐点は82.8[円/NZD]。4月末までは膠着状態でした。
➡ということで利益はでてるのですが、やはり満期解約せず1ヵ月定期で元利継続。更には100万円程増資しちゃいました。
ところがここ数日(2023年5月27日)ドル円140円突破に合わせて、NZDは爆落ち。相対的にドルに流れたという事でしょうか?
まあこの先の行方はまた別の記事で。
ニュージーランドは先進国だよね?
ところでニュージーランドって何でこんなに金利が高いのでしょうか?先進国ですよね。じつはオーストラリアも似たり寄ったり。というか本当はこんなに金利は高くなくて何か別の仕組みがあるのでしょか。別の記事でその辺を確認します。
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