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我家の寝室のエアコンが遂に動かなくなったので2023年8月に買い替えました。家庭で電気代が高いものとしてよくあがるエアコン、昨今の電気代高騰が中々激しい中、いちエンジニア(エアコンとは関係ない業種ですが)として昔大学で学んだ知識を頑張って思い出しながら、色々真面目に考えて買い換えました。
エアコンの常識について再考:温故知新
エアコンの電気代についてよく目耳にすることとして
・10年前のエアコンと比べたら電気代が全然違います。値段が高くても最新機種に買い替えるのが断然お得です。
・小型エアコンの方が省エネ性能が高い。
という話があると思いますがこの常識について、今回改めて考えたうえで買い替え機種を選びました。
10年前のエアコンと比べて電気代どれだけ安いの?
ダイキンさんのサイトには1998年からのカタログが年毎に掲載されていたので確認してみました。
1998年から2023年の間のカタログに記載されている省エネ性を比較してみました。
比較したのはダイキンさんの代名詞2000年(正確には1999年の冬)に発売された”うるるとさらら”シリーズ及び最安シリーズ(NまたはEシリーズ。年によって最安シリーズは変わっています)。
下のグラフは左側が6畳用、右側が18畳用。
濃い色が”うるるとさららシリーズ”、薄い色が最安のシリーズ。
上段からAPF、暖房COP、冷房COPというそれぞれカタログや店頭で出てくるエアコンの省エネ指標を25年前(1998年)から5年ごと位に比較したものです。
(98年はうるるとさららはまだなかったので最高省エネ機種を選びました。また2010年前はうるるとさららには18畳用がなかったので20畳用の数値です。)
●通年エネルギー消費効率:APF
今のエアコンの省エネ指標です。今のと書いたのは、このAPFが導入されたのは2010年でそれ以前は別の省エネ指標が使われていたからです。
上のグラフで最上段の緑色のやつです。導入された2010年から2023年現在までほぼ数字が変わっていません。18畳用のうるるとさららだけ2010年のと比べると20%あがっています。
少なくとも2015年以降では18畳用も含めみなほとんど変わっていません。
➡あれ???
10年前と比べたら断然お得なんじゃなかったっけ?
確かに20%って小さくはないけど。。。
少なくとも電気代だけ見ると最新機種買う意味はない。去年の型落ち機種でいい、なんならネットで4年位前の機種探した方が安くて電気代は一緒では???
この常識はうそなのか??と思い、もう少し調べてみました。
●暖房効率と冷房効率:COP
2010年にAPFが導入される前のカタログにはCOPという指標が出ていました。はい私もこの言葉覚えています。私が20年位前に初めてエアコンを買ったときにはこんな指標のPOPがヤマダ電機の店頭で貼られていた気がします。
調べてみたところ、今のカタログにはCOPて基本書かれていませんが、それ以外のカタログに記載されている数値から簡単に計算できるものでした。なのでAPFが導入された2010年以降の製品もカタログから数字調べてCOP計算して比較してみました。(ちなみに COP = 能力 ÷ 消費電力 で計算できます。)
上のグラフで中段の赤いのが暖房COPで下段の青いのが冷房COPです。
➡あれ???
やっぱり10年前と比べて、COPも全然あがってない?なんなら最安機種ではむしろ2010年より下がってる?
やはりこの常識はうそなのか??。
➡ところが25年前まで遡ると…
はい2000年から2005年の期間に暖房、冷房ともCOPが爆上がりしていました。
比べる期間次第ではCOPが2倍になっている場合も。これ即ちカタログ上はエアコンの電気代が半分!!!。
これはたしかにすごい!!!自動車の燃費であれ、携帯電料金であれどんなにカタログ道理にはいかないのは世の常とはいえ、さずがに電気代半分のカタログスペックアップとなると実電気代も2-3割は確実に減ったのでしょう。
この電気代半減の衝撃と比べると、現在の高級機と安型機のCOPの差ってカタログ上でせいぜい10-20%。実際の電気代としてはほとんど変わらないこともあるかと。。。
ということで
●20年前(2000年~2010年位)は10年前のエアコンを最新に買い替えたら電気代半減してた.
➡でも今は(2010年以降)、最新エアコンに買い換えても電気代はそんなに変わらない。
➡当時の電気代半減に比べたら今は、最高級機も最安機も電気代の差は大したことない。
●「10年前のエアコンと比べたら電気代が全然違います」
➡これは20~15年前の常識でした。現代この常識は通用しません。要注意です。マインドチェンジ必要です
小型のエアコンの方が電気代安いの?
今度は6畳用と18畳用の比較です。
先ほどと同じグラフですが今度は左右で比べて見てみました。
上段のAPFこそ6畳用と18畳用であまり変わらない(若干6畳用の方が高い)ように見えますが、中下段の暖房COP、冷房COPで見ると確かに6畳用の方がCOPが高い。
➡やはり小型のエアコンの方が電気代が安いという事か。
➡いやこれはそもそも比べてはいけないのではないか?。
6畳用と18畳用では冷やす能力が全然違うから、車で言うならば時速40KW/hで走っている時と時速120kw/で走っている時を比べているような感じな気がする。街乗りと高速乗りで燃費の比較をするのは不公平である。
という事で、今度は冷やす力が同じ時で6畳用と18畳用を比べてみました。
尚、比較した能力は厳密には同じではなく0.4~0.6kw位の幅があります。ダイキンさんのカタログに記載されている最小能力を使いました。過去のカタログもみると、この最小能力も20年位の長期スパンで見ると、少しづつ下がってきているようですが、少なくともこの5-6年は変わっておらず、シリーズ別に見ても、うるるとさららであれ最安シリーズであれ最近の商品では0.4~0.6kw位(本項最後に最小能力のグラフを参考に載せておきます)で大差がありませんでした。
というかカタログでわかる数値で同じ位の能力を探すと、この最小能力しか見つけられませんでした。
(尚、最小能力で比べたのは、現在のエアコンはインバーターエアコンと呼ばれるもので、その多くの運転時間を比較的小さい能力で運転しているはずのためでもあります。ここは詳細割愛しますが、世の中でインバーターという技術を使うのはエアコンだけではなく、これはインバーター技術活用の際の常識でのようなものなので。)
2010年以降で見ると…
●上段の暖房COPでは6畳用と18畳用ほぼ同等。
●下段の冷房COPでは18畳用の方が20%位高い。
●また暖房も冷房もうるるとさららよりも最安シリーズの方が高い
●2010年以前では年やシリーズにより6畳用の方が良かったり、18畳用の方が良かったりバラバラ…
➡あれ?ということは…
●小型のエアコンの方が必ずしも電気代安いわけではない。
➡ダイキンさんのここ数年の商品では同じ位の能力でみると、小型も大型も電気代はほぼ同じ。むしろ冷房では若干ではあるが大型のエアコンの方が電気代安い…
➡単純にCOPだけ比較して小型のエアコンの方が電気代が安いという考え方が広まったのかも?
●「小型エアコンの方が省エネ性能が高い」
➡これは昔から常識ではなかった。ケースバイケース、モデルバイモデル。要注意です。これもマインドチェンジ必要です
ではどのモデルを買うか?
●最早、最新エアコンに買い換えたからと言って電気代はそんなに大きく変わらない。
●小型エアコンでも大型エアコンでもランニングの電気代はそんなに変わらない。
即ち?
という提案はいかがだろうか。
では電気代はもうあまり下がらないのか?
今度は温める/冷やす能力とCOPの関係を比べてみました。
先ほどまでと同様に左側が6畳用で、右側が18畳用。そして上段が暖房で下段が冷房です。
●一目瞭然で冷房、暖房、6畳用、18畳用全てで能力が小さい(グラフで左に行く)ほど電気代が安い(COPが高い)
➡即ち、車では高速運転の方が燃費がいいのが一般的ですが、エアコンは低速運転(能力が小さい/あまり冷やす力をださない/あまり温める力を出さない)方が電気代が安いということのようです。
➡ダイキンさんのエアコンで言うと結局、どのエアコンを買ったとしても2kw前後の能力(冷やす/温める力)で運転し続けるのが一番電気代が安くなる(電気の燃費が良くなる)ということかと思います。
(技術的には2kw前後ではない能力(4kwとか6kwとか)に運転効率のピークが来るように設計することは可能なはずですが、現在売られている商品は2kw位がピークになるようにするのが、おそらくAPFが高くなるのでしょう。)
➡決して2kwのエアコンが良いというわけでありません。必要な能力が3kw,4kwあるのに2kwのエアコンを入れたら、それこそ冷えない(暖まらない)だけです。
というのが私の考察ですが、ではそのためにはどうしたら良いのか続いて考えてみました。
省エネ=小さい能力で運転させるには?
買換えエアコンのサイズ(能力)を選ぶ
エアコンの必要な能力のより正確な考え方、計算の仕方は色々な方が紹介されてるのでそちらにお任せします。
ここではそんなのは難しくて良く分からないという場合に、現在使っているエアコンを元に、簡易的に適切な能力を選ぶ考え方を紹介いたします。
<エアコン買換え時に適切な必要能力の選び方>
まとめ
という事で、冒頭のまとめの内容の詳細でした。
私は結局、昨年夏に今よりも1サイズ大きいエアコンの1年型落ちモデルに買い換え、まだコロナ化で家にいることも多い(あまりそうでもなかった?)はありましたが電気代特に上がることもなく(勿論エアコンだけの問題ではありませんが)、快適な夏を過ごすことができ満足しております。
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