電気代は
「弱冷房除湿」<「冷房」<「再熱除湿」
弱冷房除湿が冷房よりも安い…という話は、もはや常識(らしいこと)になっているような気がします…
でもよく考えて見ると…?

なんで除湿と冷房を比べる必要が??
まずそもそも除湿と冷房を何故比べるのか?
違う機能なんだから比べたって意味がないいでは…
と、思っているのは私だけでしょうか…?
部屋の温度を下げることをがメインの冷房と
部屋の湿度を下げることがメインの除湿…
除湿を使うのは…
洗濯物干すとき、冷房してもなんかジメジメする時、とかでは?
冷房と比べても…??みたいな
除湿を冷房として使っている人が結構いる?
同じ除湿機能で弱冷房除湿と再熱除湿、異なる除湿方式があり、これを比べるのはよく分かります。
「おなじ除湿機能だけど再熱除湿はすごく電気代が高いから注意してください」
大切な情報、知識です。
本記事では再熱除湿はあまり関係ないので、詳細は記載しませんが。
でも、なんか知らんけど弱冷房除湿の方が冷房よりも電気代が安いという説明をされる方、サイトが多数あります。
何故でしょう…
もちろん、正確なことは分かりません…
しかし昔の記憶を思い起こすと
「除湿の方が冷房よりも涼しい」
という噂を昔、聞いた記憶があります。
私の場合は約20年前。まだ私が20代の頃。
この論争の発端はこれではないでしょうか?
この噂を信じて、日常的に冷房ではなく除湿を冷房代わりに使用している方が結構いる?のではないでしょうか?
だからこそ、除湿の方が冷房よりも電気代安いとかいわれると妄信してしまうと…
本当は比べることに意味はない…のだが
とはいえ、大前提、除湿と冷房は違う機能なので電気代を比べても意味がありません。
もう少し、分かり易く言うと除湿と冷房を比べることはフェアではありません。
エアコンはそもそも部屋の温度と湿度を調整するもの。
即ち電気代は部屋の温度と湿度で決まります。
そう考えた時に、除湿と冷房って部屋の温度と湿度は一緒なんでしたっけ?
はい、もちろん除湿と冷房で部屋の温度と湿度は全く違う数値になります
(たまたま一緒になるような場合ももちろん起こり得りますが…)。
そして部屋の温度と湿度が違うのであれば、そもそも涼しさが違うんだから比べても意味ないですよね…
同じように部屋を冷やしてこそ、電気代を比較する意味がありますが、基本的に同じ条件の部屋で冷房と除湿を行う場合、温度も湿度もどちらも違う数値になります。
だから、冷房と除湿で電気代を比較することはフェアではないのです。
同じような例としては、例えば玉子料理とかでしょうか?
(却ってわかりにくいでしょうか?)
生玉子から目玉焼きをつくるのと、ゆで卵をつくるのどっちが安いとか比較しているようなもんです。どっちも玉子に熱を加える料理ですが、作るものは全然違いますよね。
この時に、目玉焼きを作る方がガス代・電気代が安い(普通は目玉焼きの方が安いかと思います)と言っているうようなものです。
もちろん、ガス代・電気代が安いのはその通り、でもゆで玉子を食べたい時に安いから目玉焼きを作ろう!!…とか意味わからないです。
これと一緒です。
今、冷房して部屋の温度を下げて涼しくなりたいんです。
その時に、除湿して部屋の湿度だけ下げようっていうのは本来は全然、涼しくならないんです。
よくある床に置くタイプの除湿器をイメージしてください。
部屋の湿度だけを下げても、少し涼しくなった感じはしますが、冷房程は涼しくならないんです。
だから比べても意味がないんです。
ところがややこしいのは…
- エアコンで冷房すると…
部屋の湿度も一緒に変わるんです。
実は湿度(相対湿度)は必ずしも下がる訳ではなく、上がる事もよくあります。 - エアコンで除湿すると…
部屋の温度も一緒に下がるんです。
だからこそ、除湿を冷房の代わりに使うなんていう方が結構いるんだと思います。
ややこしいですね…
ちなみに日本以外の国では基本的にはこんなことは起こりません。
- 欧州やアメリカ
そもそも夏は乾燥しています。
どちらかというと冬の結露対策の方が除湿ニーズは高いかと。
だから誰も夏に除湿しようなんて思いません。 - 東南アジア
はい、こちらは常夏。
そして1年中、わりとジメジメしています…
日本人にとっては…
そうです、日本人にとってはなんです…
現地の方は生まれた時からこの環境で育っているので、あまりジメジメしているなんて思っていません。
日本人は四季が明確にあるからこの差に、敏感なんです。
そして昔からニュースで梅雨はジメジメとかあおられてきたからマインド的にも敏感になっているんだと思います。
東南アジアの家庭にもここ10年でエアコンが爆発的に普及しました。
特にダイキンやパナソニックといった日本メーカーのエアコンが。
だから除湿機能もついています。
でも使いません…
何故ならば除湿してどうするの?もっと言ったら除湿ってなに?
…位の感覚だからです。
日本人って世界中で最も、湿度に敏感な国民ではないかと…
数少ない、未だに世界中を席巻している日本発商品である家庭用のエアコンですが…
やはり日本市場は凄くガラパゴス…
頑張れニッポン企業!!
弱冷房除湿ってそもそもなに?
ようやく本題です。
本記事のタイトルでもありますし、既に↑でも何度か使っていますが、
「弱冷房除湿」
という単語を聞く、記事などで目にすることが少なからずあるかと思います…
しかし部屋の条件
弱い冷房って何が弱いの?
ですが、ここでいう
「弱冷房」
ってなんでしょうか?
はい、勿論、
「弱い冷房」
です。
バカにしてんのか!!と思われたらすみません。
しかし、弱い冷房ってなんでしょうか?
どういう状態でしょうか?
- 設定温度が高い冷房のこと?
電車やバスでいう弱冷房車両って、このことですよね? - 風が弱い冷房のこと?
これは風が弱い(少ない)だけで、風の温度は凄く低いこもあるし、ぬるいこともあります。
風の温度が低ければ、別に冷房として弱くはない気がします。最強ではないですが。
風の温度がぬるければ、風少ないは。ぬるいわでこれも間違いなく弱い冷房。 - エアコンの故障でよく聞く、ぬるい温度の風が吹き出す状態のこと?
部屋が冷えない、弱い冷房っていうとこれも思い浮かびますが…
いくら設定温度下げようが、風を強く使用が、いっこうに部屋が涼しくならない…
なんとなく伝わってきましたでしょうか。
要するに冷房の強弱には風の量(多い・少ない)と、風の温度と二つの状態が関係しています。
このうち、弱冷房除湿とよく言われる状態は風量は少ないけど、風の温度は冷たい状態です。
要するに風量を少なくした冷房が弱冷房除湿です。

よくある説明ですが、氷水の入ったコップを思い浮かべてください。
夏場に机の上において置くと、コップの周りに水がいっぱいつきます。
あれが除湿です。空気中にある湿度(水分)が冷たいグラスの表面で冷やされて結露する現象です。
それがエアコンの内部でも起きているわけです。
氷程、冷やす必要はありませんが温度を下げることは絶対に必要なんです。
だから除湿モードであってもエアコンの内部はキンキンに冷やされています。
でも、除湿モードは出来るだけ湿度だけを下げたい。
言い方を変えれば、温度は下げたくない。
だから、本当は風は弱くするだけでは飽き足らず、風は止めたいのです。
風吹くと部屋の温度を下げてしまうので。
でも、風を止めてしまうと除湿する量も減ってしまう、また色々とエアコンの機器側で色々問題が起こり易くなります。
だから少しだけ風を吹くのです。
あまり遠くまで、部屋全体を冷やさないように。
そうすると…
- エアコンの内部はキンキンに冷えている
- 風の量はすごく少ない
- そうすると、吹き出す風の温度はすごく冷たい
➡そう、風の温度自体は冷房の時よりも冷たい事もしばしば…
➡おそらく、これが除湿の方が冷えると言われる方がいる原因ではないかと…
いつも必ずこうなる訳ではないのですが。
エアコンの除湿機能、とりわけ弱冷房除湿と言われる状態は
- 風は弱いけど、凄く冷たい
- 出来るだけ湿度だけを下げたい、部屋全体はあまり冷やさない
これが弱冷房除湿の正体です。
弱冷房の弱は風の弱さだったんです。
世の中にある多くのエアコンで搭載されている除湿モードとは結局は風量が少ない冷房なんです。
だからよく知っている方が、弱冷房、弱冷房と言っているのが始まりかと…


という事で、除湿(=弱冷房除湿)は風は弱いけど、吹き出す温度は冷たいんです。
だから、エアコンの近くにいる分には冷房よりも冷たい風が体感できるんです(一般的には)。
この
「除湿の方が風の温度が冷たい」
という体感できる温度の部分の情報が独り歩きして、
「除湿の方が冷房よりもよく冷える」
という都市伝説(??一部は真実)になったのかと…
冷房で風を弱く設定するのとの違いは?

じゃあ冷房でいいじゃん…
という疑問が湧いてくるかと思います。
その通りです。
なので、エアコンを良く知っている方は除湿モードは設定せずに風量を弱くして設定温度を下げる方もそこそこおられるのではないでしょうか…おそらく。
これで除湿はしっかり出来ます。
しかしここで問題は設定温度なんです。
冷房には設定温度があります。
そして部屋の温度が設定した温度に達すると、エアコンは止まってしまいます。
エアコンが止まってしまうと当然、除湿もしなくなります。
だから、エアコンが止まらないように、設定温度に到達しないように設定温度を下げるんです。
例えば18℃に設定するとか…
除湿モードってこれを勝手にやってくれているんです。
設定温度を無視して除湿をし続ける…
でも出来るだけ部屋の温度は下げないように、寒くなり過ぎないように風量は出来るだけ小さく。
……
こんなの一々説明してられないですよね…
取扱説明書に書いたところでどうせ難しすぎるし…
だから除湿という機能にしてしまえというのが始まりなんだと思います。
そして、↑でも少し触れましたがこれって凄く日本だけの話なんです。
エアコンが最初にアメリカで出来て、現在の住宅用のエアコンを日本メーカーが開発する際に日本でだけ出てきた需要…
そう梅雨です。
- そこまで暑くはないけど凄くジメジメして不快
- 洗濯物も乾かなくて困る
- でも冷房すると寒い。寒すぎる。
- 実は冷房して温度も一緒に下がると、湿度はあんまり下がらないので洗濯物も結局乾きにくい
この梅雨の季節に湿度だけ下げたいという、日本特有の需要に基づいて機能が出来たのが除湿運転なんだと思われます。
その究極が電気代高いと各所でたたかれている再熱除湿(本記事では詳細ふれませんが)。
これが本当に、温度は一切下げずに湿度だけを下げます。
一部の女性なんかには今でも大好評の認識です。
本当に寒くないんで。でも湿度とれて快適なので。
でも電気代高い。
そもそもは何でこんなにややこしいかというと、温度と湿度を同時にコントロールするのって実はすごく難しいんです。
まさに
「あっちをたてればこっちがたたず」
の状態。
だから
- 温度を下げる冷房
- 湿度を下げる除湿
を分けてしまえというのは凄く普通な流れだったんだと思います。
どんな家電製品でもわかり難い機能は誰も使わないので…
ダイキンとかパナソニックの高級機では最初から冷房除湿というモードを分けて持っていますね。
リモコンにも冷房、除湿とは別でちゃんと表示されます。
ちなみにダイキンは除湿冷房でパナソニックは冷房除湿と呼んでます。
ただ、やはりややこしい。特にパナソニック…
- ダイキンの除湿冷房
温度も湿度もリモコンで両方設定できます。
でも湿度設定の表示が%で出たり、多い・少ないで出たり設定によって変わるみたいですね。


- 冷房除湿_パナソニック
設定できるのは温度のみ。
湿度は設定できません。
でも普通の冷房よりも湿度を下げに行く。
これですややこしいやつ、湿度設定できないのに「冷房除湿」って…

それで、電気代としては…
最後は問題の電気代です…
「弱冷房除湿」<「冷房」<「再熱除湿」
ということですが、よくいわれる
- 設定温度が高い方が電気代が安い
- 室内機の風を強くする方が電気代安い
に当てはめて考えてみます。
まず大前提として除湿なので
「部屋の温度は下げなくていい」
という事になります。
要するに設定温度として考えるとかなり高い(今の室温のままで良い)。
冷房運転としては温度の点から見ると電気代は安いんです。
続いて風量設定、この点から考えると風は弱いので電気代は高い方になります。
という事で、電気代が安いとも、高いともどっちとも言えない!
運転条件次第という事です。
これが結論です。
何やねんという感じですが、要するに何の根拠もなく、一概に
「弱冷房除湿」<「冷房」
と言っている内容は間違っていますという事です。
室内で作り出す温度と湿度が違うのでやはり比べてもしょうがないということです。

一部大手の家電メーカーや家電量販店の説明でも弱冷房方式ならば除湿の方が冷房よりも電気代安いと言っていますが…その会社は…
ちなみにダイキンとパナソニックはやはりどちらでもないとちゃんと濁しています。
●こちらダイキンの説明

●こちらはパナソニックの説明

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