「冬の方がエアコンの電気代は高いんです」
正しい常識としてだいぶ広まってきたでしょうか。
一昔前は、7月始め頃に真夏日(最高気温30℃以上)やら、猛暑日(最高気温35℃)やらが来ると…
「今年の夏も暑くなりそうですね、またエアコンの電気代が気になりますね…」
とか言われて、あたかも夏の方が電気代が高いイメージをマスコミからも刷り込まれてきました。
特に50代後半以降の方はそういった認識でおられる方もまだまだ多いのではないでしょうか。
これは決し嘘をついていたわけではありません。
昔は事実、そういう家庭が多かったんだと思います。
だた生活習慣の変化、電気代やガス代の変化、等々で事実も変わってきたわけです。
また生活習慣を抜きにして単純に技術的に考えるならば
「エアコンは冬の方が電気代が高い」
これは今も、昔も変わらぬ真実。
昨今の電気代高騰は、平常化しつつあるウクライナ戦争と円安のダブルパンチに加え、猛暑に厳冬でとどめを刺されるわけですが、まあ兎にも角にも夏冬関係なく1年中電気代が高い訳です。
そしてより一層電気代が厳しいのが冬。
暑さと寒さ、人間が物理的に耐えられないのも冬。
人間は生物としてそもそも寒いのには弱いんです。
暑いのは我慢で乗り切れても、寒いのは我慢すると死にます。
だから世界の歴史は暖を取るために北半球の寒い地域から技術・文明が発展してきたわけです。
(まあ昨今は猛暑での死者も世界で増えていますが…)
電気代を抑えることは勿論、重要なのですが死んだり、風邪ひいたりしたら元も子もありません。
電気代を抑えつつ、そこそこ快適。
快適性の維持が夏の冷房以上に重要なのが暖房です。
ハイブリッド暖房節電のすすめ
エアコン以外の機器と併用!!
暖房は冷房と違って色々な選択肢があります。
冷房はエアコンと扇風機(と、うちわ)しかありませんが、暖房は電気ヒーター、ガスヒーター、こたつ、等々。
今までの常識にとらわれず正しく暖房機器を理解して、節電しつつ快適を維持しましょう。
エアコンのみで家全体を暖房するご家庭も増えてきたとは思いますが、まだまだ各種ヒータやこたつと併用の方が多いのではないでしょうか。
そんな場合に、エアコンをどう使うのか、また他の暖房機器をどう使うのかで大分電気代が変わってきます。
冷房と違って選択肢が沢山あるのは、各機器にメリットとデメリットがあるからです。
ということで良いとこどりすればいい訳です。
ハイブリッド自動車ならぬハイブリッド暖房です。
エアコンはベース暖房
ヨーロッパやアメリカとうの寒い地域では「ベース暖房」という考え方があります。
北海道でも同じ認識ですが、これは要するに寒い地域では、暖房が切れると命にかかわる(要するに寒すぎて死ぬ)ので家を24時間暖めるという考え方です。
勿論、24時間暖めるといっても、電気代・ガス代が際限なくかかりますので
「最低限死なない程度に」という枕ことばが付きます。
つまり家全体を15℃位に保つわけです。そしたら後は、軽く毛布かけてたら寝ても死にません。
実際には家全体を暖める必要はなくリビングと寝室、要するに長時間滞在する部屋だけでいい訳ですが、諸事情によりヨーロッパもアメリカも家全体を死なない程度に暖めるわけです。
良いとこ取り
そして、実はこの温度の低いベース暖房とは、実はエアコンがすごく得意な所になります。
詳細は割愛しますが、エアコンの暖房は部屋の温度が低ければ低い程、凄く節電になるんです。
この考え方をあまり寒くない、東京や大阪等の地域に当てはめます。
「死なない程度にベース暖房する」ではなく
「電気代があまり上がらない範囲でベース暖房する」。
でも、これだけでは少し寒いですよね。
だから、そこにピンポイントで他の暖房機器を足してやります。
即ち
- エアコンで部屋を18℃位にベース暖房する
➡省エネ節電だが寒い - 併せて、人がいる時だけ他の暖房機器で快適にする
これが節電、且つ快適な暖房です。
まあ、小難しく説明しましたが、要するにこれがエアコンと他の暖房機器のハイブリッドです。
知らない内に既に本能的に実践されてる方もたくさんいるかと思いますが。
ただポイントはエアコンと各種暖房を同時運転した方が
- エアコンだけで暖房するより節電
- 電気ヒーターやガスヒーターだけで暖房するよりも節電
という点です。
誤解されないように捕捉しますと、快適性はかなり高いという前提です。
寒いのを我慢しない前提です。
- エアコン暖房は節電だが不快:
家全体を暖めてもそこそこ電気代安い。
でも当れるほど、暖かくない。
というか風冷たい。
部屋全体、不要な所も暖めてしまう。
それでも温度上げるとさすがに電気代そこそこ高い。 - 電気・ガスヒーター暖房は快適だが電気代・ガス代高い:
すぐ暖まれる。
当って暖かい。
必要な所だけ暖められる。
でも家中暖めたら、えらい電気代・ガス代。
ということでその間をとります。
両者を併用することで電気・ガスヒーター暖房の快適性を節電しながら実現するわけです。
手動でハイブリット暖房するイメージです。
こんな所こそAIで連携してくれたらいいのにと思います。
おそらく、もうすぐリンナイとかコロナとかガスヒーターとエアコンと両方持っているメーカーがそんな暖房機器を売り出すのではないかと思っています。多分、まず海外で。
ちなみに、これをエアコンだけで実現しようとすると風を弱くして、吹き出す温度をヒーター並みにあげる必要があります。お金をかければ技術的にはできない事はないかもしれませんがエアコンだけでは中々難しいです。
暖房こそサーキュレーター
次はサーキュレーターです。
夏の冷房時にサーキュレーターを使うというやり方は大分、認知されてきたように思います(間違った使い方も多いので要注意ですが)が、実は暖房こそサーキュレーターを併用するとエアコンは節電になります。
天井に溜まる暖気をまぜる
暖房の時こそサーキュレーターは天井に向けてください。
冷房の時にエアコンの温度センサが部屋が暑いと勘違いしないようにとかいう、意味不明な説明と違ってこちらは暖房は明快です。
- 暖かい空気は上に溜まる
そうです、エアコンやヒーターで暖められた空気は軽いんです。
だから天井に溜まるんです。
誰もが中学校で習ったかと思います。
学校によっては実験もしたんではないでしょうか?
天気予報で聞く温暖前線とか寒冷前線とかも空気の温度と重さの話です。 - だから…
誰もいない天井付近に溜まってしまっている暖かい空気をサーキュレーターで床付近に送ってやれば節電なんです。
誰もいない天井近くを暖めるための無駄な電気を節約できます。
人がいる床の方だけを出来るだけたくさん、早く暖めれます。
だから…
サーキュレーター無しの場合と比べると設定温度も下げられるんです。
結構すごいですね。
天井付近を省いて暖めるスペースを小さくした上に、設定温度まで下げれるこれでダブル節電です。
- しかも…
更に、実はエアコンの暖房というのは室内機が吸い込む空気が冷たい程、省エネ運転になります。
即ち、部屋の床付近に溜まっている冷たい空気をどんどん天井に送ってやって、室内機が吸い込む空気の温度を冷たくしてやると、エアコンの運転効率(同じ温度暖めるのにかかる電気代)が良くなり節電です。
ということでこれでトリプル節電になります。
注意点:風に当たると寒い
ということで、エアコン暖房時のサーキューレーターの併用は良いことづくめ!!
…っと思ったら、もちろんそんなことはありません。
エアコンで暖房時にサーキュレーターを回すと…
- 風が寒い
そうです、サーキュレーターで部屋に風を回すとその風が寒いんです…
いくら天井に溜まった暖かい風を循環させているとはいえ直接当たるとやはり寒いんです。 - サーキュレータは真上に向ける
暖房の時こそ、本当にサーキュレーターを真上に向けてください。
(冷房の時、サーキュレーターで節電効果が見込めるのは天井ではなく横吹きです)- 部屋の端っこで問題ありません。
- 家具で障害物を作っても良いです。
どうせ風は回り込みますので。
➤出来るだけ、人がいる場所に直接風の影響が出ないように!
寒くないならば、本当は真上ではなく少しだけサーキュレーターをエアコンの方に傾けられるとより節電になります。できるだけエアコンに床付近の冷たい空気が行くように。
エアコンだけを使う場合
最近は暖房をエアコンだけで行うご家庭が大分増えてきたでしょうか。
エアコンを節電するための設定や据付についは夏の冷房と冬の暖房で同じところもあれば、逆のところもあります。
私は大学は工学部出身ですが、工学部であってもエアコンについて詳しく学ぶ機会は有りません。
基本原理を習うだけでどうしたら節電になるとか、どうしたら良く冷えるとかそんなことは教えてもらうことはありませんでした。
昨今の大学事情はよく知りませんが…
まあ詳細な原理はともかくして、節電・快適な使い方はただしく知っておいて損はありません。
マスコミや自称家電評論家の説明は玉石混合ですので要注意です。
まあ、私も単なる工学部出身の家電オタクの端くれなので、自称家電評論家の一人に過ぎないことは変わりませんが、出来るだけ玉石の玉の方であるように心がけています。
冷房とは逆…
- 設定温度
冷房は設定温度高い方が節電。
暖房は設定温度低い方が節電。
まあこれはいわずともしれた一般常識ですね。
但しポイントは下げたいのは設定温度ではなく実際の部屋の温度です。
実際の部屋の温度が下がっていないのであれば、いくら設定温度を下げても全く節電にはなっていません。 - 室外機の日除け
夏は室外機に日除けをする方が節電。
冬は室外機の日除けを外す方が節電。
部屋を冷やす夏は太陽光は邪魔モノですが、部屋を暖める冬は陽射しのパワーも少しですがエアコン室外機は吸収して活用します。
だから夏に日除けを設置した方は冬は外して下さい。
但し、豪雪地域の方は雪除けの方が重要です。
雪除けも兼ねている方は日除けは外さないでください。
室外機が雪に埋もれてしまっては、もう暖房できなくなりますので、最優先は雪除けです。
冷房と同じだが…
- 風の強さ
暖房も室内機の風は強い方が節電。
これは冷房と同じです。
但し!
風が強いと、体感が寒い!
より強く肌の乾燥を感じる!
暖房しているのに寒いとかもう論外なので、ここは調整しましょう。
寒くない範囲で風を強くする。
風が自分に当たらないように風向を調整する。
この辺は、状況に応じて臨機応変に。
ちなみに…
「風の強さは”自動”が節電」
とよく言いますが、これは正しくは
「弱よりは節電」
です。
一番節電なのは「自動」よりも「強」です。
メーカー各社が自社の自動運転機能をPRするために、暦年と重ねてきた説明が歪曲した姿が現在の風量は「自動」が一番節電という一種の信仰です。
間違ってます。
これに拍車をかけているのが昨今の〇〇AI運転という名前の機能。
これは2024年現在の所、まだ過去の〇〇自動運転の名前が変わっただけに過ぎません。
あと2~3年したらもうわかりませんが、今の所そんな賢い大規模学習機能を搭載したエアコン、エアコンメーカーのAIサーバーは無いように見えます。
皆さんもエアコンのカタログのAIの説明をよく読んでみてください。
10年前と書いている事が変わっていない事が良くわかるかと思います。
ちなみに節電についてはこの通りですが、快適という点では風量は「強」よりも「自動」の方が良いと感じられる方も多いかとも思います。
各社の自動運転はAI〇〇含めて、あくまでも省エネで且つ快適です。
特に、エアコン暖房での強い風は不快に感じるのは事実と思います。
そもそも暖房費が高いのは…
冒頭から暖房の方が電気代高い前提でしたが、一応その理由も。
外との温度差が大きい
上の絵の通りなんですが
- 冷房はせいぜい10℃冷やせばいい
- 対して暖房は最低でも15℃は暖める
エアコンの電気代って要するに、家の中と外でどれだけ温度を変えるかなんです。
大きく温度を変えるには電気代が沢山かかるわけです。
すなわち家の外と家の中の温度差が大きい程、エアコンの電気代が高くなります。
ということで 外の温度差で比べると
10℃ vs 15℃ = その差1.5倍
実際には、勿論ここまで単純ではないですが、ざくっといって暖房の方が電気代1.5倍くらいという解釈でもあっています。(本当にざっくりですが)
しかも冷房で25℃って実際に25℃に部屋がなったらかなり寒いという方が多いと思います。
…が、暖房の20℃って寒い方の方が多いと思います。
ということで、冷房は26℃でも十分なことも多いですが、暖房は22℃とか23℃でないとまだまだ寒いかも…
この10℃ vs 15℃の差は広まる一方。
暖房の電気代…恐るべし、という感じです。
冬の方が長い
以下工事中
コメント